GWは4日間連続の開催となりました。
多くの皆さんのご参加のもと、しっかりと前進できたのではないかと感じます。


5/3(土祝) 本宿コミセン


初めて開催する本宿コミセン。初参加11名を含む25名の方のご参加でした。
土足禁止の広いホールなので写真を床に広げて仕分けをしたり、干すのも悠々とできました。
0503_1
午前中は洗い、午後は最初の工程である「前処置(剥がし・砂落とし)」を中心に進めました。
0503_2
アルバムから写真を剥がし表面の泥や裏面の汚れを落としてゆきます。この工程はスキャニングで綺麗なデータを残すために行います。スキャニング後にしっかりと洗浄をするのでこの段階ではあまり深追いはせず、砂・泥を払う程度に留めます。
0503_3
写真のように台紙ごとくっついている場合は丁寧に剥がしてゆきます。
裏面に粘着台紙の糊がくっついている場合はナイロンたわしで取り除きますが、なかなか取れないときは少しエタノールを吹くと接着成分が溶けて剥がれやすくなります。エタノールは表に掛からないように注意します。
0503_4
この日は初参加の方が多かったのですが、頼れる常連さんも飛び入りで参加していただけました。いつもお世話になってます! 処置の難しい写真を一手に引き受けてくださりとても助かりました。
補修や丁寧な拭き作業が必要なものは別カゴに入れて管理しています。
0503_5
最近熱心にご参加いただいている元気な男子です。
勢いがあり、根性があり、彼が来るだけでこちらも気合い入ります。
ScanSnapというドキュメントスキャナーを使っているのですが、彼にScanSnapを任せたら一流。
写真のセッティング・交換・保存・ヘッドのクリーニング、すべてを完璧に進めてくれます。
初参加の方にもどんどんスキャニングをやっていただいていますが、分からないことがあるときは彼に訊ねてみるとよいと思います。頼りにしております!

この日は写真修復士のSさんもお越しいただき、大判写真や額にはりついた写真などを見ていただいたり、現在取り組んでいる釜石市の写真、周辺の写真洗浄・返却場の状況などいろいろ情報交換することができました。ときどき来ていただけると助かります。またお会いしましょう。ありがとうございます!


5/4(日祝) 吉祥寺北コミセン

吉祥寺北コミセンでの開催。この日は初参加12名を含む19名の方にご参加いただきました。
この会場での開催は2回目。地域の方にも広めてゆきたいのでできるだけ広範囲のコミセンを選ぶようにしています。
吉祥寺通りを北上する道はりす会へ通っていた方には懐かしく感じるかもしれません。
りす会あじとより手前を曲がった住宅街の中にあります。

この日も初参加者さんの方が多くいらっしゃいました。皆さん理解が早く、各班に分かれた後もそれぞれ相談し合いながら進めていただけました。30分も経たないうちにおおよその感覚は掴めると思います。
0504_1
午前中は洗い、午後から剥がし・砂落としの進行。この流れはほぼ毎回基本になりました。乾かして撤収しなければならないので、午後2時半以降の水洗浄はしません。

各テーブルに2つずつ洗い桶とすすぎ桶を置き洗います。
洗い終わった写真は吸水タオルや吸水スポンジでしっかり水分を取ることで乾かす時間を大幅に節約できます。ネコよけに並べ、アルバム単位で送風機の前に置きます。
0504_2
進める内にネコよけが不足するので、乾いた写真から取り込みネコよけを解放。その繰り返し。
ネコよけの代わりに食品トレーや豆腐の容器で手作りしてくれる方もいらっしゃいます。身近なもので利用できるものは沢山ありますね。こうした創意工夫で活動が発展してきたと言っても過言ではありません。

乾きにくい写真はなるべく風が当たりやすい場所に。
この時に気をつけなければならないことは、アルバムが混じらないようにすること。
アルバムが混じってしまうと持ち主の方に返却できなくなってしまいますので、ここは慎重を期します。

各々気をつけていても、伝達不足などで間違いは起こりやすくなります。
班ごとに声を掛け合い、列の区切り目には目印の付箋をつけたり、ひとつのアルバムは必ずひと固まりで置くことが重要です。
0504_3
とつぜんひょっこり現れたオールドあらいぐま様、嬉しいです! ご多忙の中でも時間ができると訪れてくれます。何も言わずとも必要な作業ポイントにスッと入っていただけるので助かります! 頼りにしています!

ベタベタする写真の対策にはニスを使うことにしました。
損傷が大きな写真は乾かして水分を抜いてもずっとベタベタがとれません。表面のゼラチン層が損傷で組織力を失っているからだとお聞きしたこともあります。コーティングが溶けていて湿気を呼び寄せてしまう感じもします。
そのまま水洗いすると真っ白に落ちてしまうので、部分洗いや水拭き、場合によっては何もしないというのも方策です。

洗浄では端の方のマーブル(インクが溶けて紋様状になった部分)を落としますが、人物はもちろん、風景、室内の様子、写真の世界観が感じられる要素は消しません。
しかし、その残した要素にベタベタが残っている場合、重ねると写真同士がくっついてしまうので表面にはそれなりの処置が必要です。
0504_4
持ち主の方が手にされた時、どのような状態が望ましいかはつくづくと考えます。
しっかりと像が残っている。そして写真としてしっかり手にできるもの。難しいところですが、像を残すことを突き詰めると、どうしてもベタベタの問題に突き当たってしまいます。

ベタベタ写真に関してはこれまでもいろいろな方策を試みてきました。水性ニス・シッカロール・紙粉・ラミネート・・どれも一長一短あり決定的な解決法にはなかなか行き着きません。
どこまで像を残すかも永遠の課題です。関係者が集まる写真救済サミットで議題になったこともありました。

お正月に海辺のあらいぐま代表さんにお会いした際、ニススプレー(アクリルラッカー)のお話を伺い実践もしてくれたのですが、スッ スッと軽く吹くだけで見事に表面のベタベタが解消しておりました。話には聞いていましたが実際目にすると衝撃です。ニスと言うとベッタリ塗りつけるイメージですが、ほんのちょっと吹くだけ。

これを真似せずしてなにあろう! です。何かと海辺さんを真似する課外としては当然ながら即採用です。(白状しますが「課外のあらいぐま」という名称も「海辺のあらいぐま」さんのパクリでした。すいません! 海辺さんのような風情は全くありませんが)
技術的にもマインド的にも良いところは受け継がれてゆきます。

海辺さんでは手持ちで吹いていましたが、コミセンはスペースの制約もあるので飛び散らないように僕らは新聞紙上に置いてやることにしました。
最初はスプレーの風圧で写真が飛ばされ、裏面にニスが付いてしまい、回収した時に写真同士がくっついてしまったこともありました。途中からは両面テープで固定して飛ばないようにしています。

シンナーの臭いが発生するので屋内で吹くときは換気をよくする必要があります。屋外でやるのが一番いいと思いますけれど。そこは近所迷惑にならない程度に。
0504_5
使用したニス(アクリルラッカー)は上記3つです。
左のグロスバーニッシュというスプレーが海辺さんからお薦めいただいた一番良かったものです。少々高価であったため、途中からよりリーズナブルなスプレーにシフトしました(ここはどうしても予算と相談になってしまいます。すみません)。

安いものと高価なものは、この日の感じでは溶剤とスプレーボタンが違うのだなという実感でした。
安いものはシンナー臭が強烈です。そしてスプレーボタンが少し固い。ですが同じアクリル素材で仕上がりは変わりありませんでしたので、ここはやり方を工夫し妥協の上進めることにしました。

スプレーに応じてそれぞれ吹く時間と距離を考える必要がありますね。あまり沢山吹き付けすぎない、良く乾かす、シンナーに気をつける、などが注意点でしょうか。
ニス吹き後は見事なまでにベタベタ感がなくなりました。今のところは一番よい方策に思えます。
ベタベタが激しいものは、1度目を一旦乾かしてから2度吹きするとよさそうです。
質問も受けていましたので少し詳しく書きましたが、実際のスプレー作業に要する時間は10分くらいのものでした。

この日の作業終了後はロビーで2時間近くも話込んで写真のことやら活動のことやら考えました。
今後の活動についてもいろいろ方向性が見えてきました。
そして、釜石の写真を進めるに当たっては、多くのボランティアさん、洗浄団体様の協力が必須で、自分たちがやる以外にも考えるべきことが沢山あるなと感じてきました。
総合的にうまく進められるように、皆さんで一緒に考えていけたらよいなと思いましたです。
しっかり返却できるよう進めたいですね。

滑り出し有意義な前半2日間でした。
(K1)