(▼2017/7/10追記)
Tipsのような形でもう少し具体的に記述を加えていこうと思います。より解りやすく、写真で少しずつUPしてゆきます。

(▼2017/7/7追記  2016/4/21追記)
しばらくトップへ配置します。一部加筆し、主要事項をマーキングしました。2015年の豪雨災害の際に記した記事です。泥や水に浸かってしまった写真は綺麗にすることができます。早期の処置ほど効果が高いと言われています。
写真を「乾かす」「泥を払う」「洗う」。以上3点を記憶に留めていただけけましたらと思います。後は実践する際に分からないことがあればご参照ください。各ご家庭でも実践することができます。

(▼2015/9/23追記)
追記しました。
『水に濡れた写真の応急処置』チラシです。これまで写真返却・洗浄活動に携わってきた各地の有志の皆さんと作成しました。プリント・掲示・配布・配信は自由です。必要に応じてご利用ください。

モノクロ版 PDF ▶ https://goo.gl/N7x4ke
v2_mono

カラー版 PDF ▶  https://goo.gl/r0vBhP
v2_color
PDFはコンビニのコピー機で「文書プリント」も可能です。USBメモリなどに入れてプリントしていただければと思います。元サイズはA4版です。モノクロ版は配布などに、カラー版はA3に引き延ばし掲示用に使用すると便利かと思います。施設へお渡しする際などは、ご担当の方に確認してからにしてください。チラシを用いての無理な提案はご遠慮いただければと思います。組織的な写真洗浄は水が必要なことに加え、時間も労力も掛かります。状況に応じた検討が必要です。応急処置は各ご家庭や自治体、ボランティアさんで実践していただく際に参考にしてください。詳細は下記ご参照を。
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(▼2015/9/14記)
豪雨災害が各地で続きました。写真アルバムが水に浸かってしまったケースも想定されます。取りいそぎ、初期段階の被災写真応急処置についてをいくつか記したいと思います。有用な局面があれば参考にしてください。
これまでのあらいぐま作戦での実践を踏まえ、富士フイルムさんマニュアルを多く参照させていただきました。

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アルバムの乾燥
フエルアルバム/ポケットアルバムなど

写真をアルバムで拾われた場合など、早期に泥水から引き上げ乾燥させることが必要です。泥水には多くのバクテリアが含まれ、浸かったまま放っておくと短期間で写真のゼラチン質が分解されてしまいます。泥水から救出し、乾かし、バクテリアが繁殖しにくい条件にするというだけでも、ある程度の写真の劣化は食い止められると思います。

泥出しや家財の片付けなど、当面は大変な状況であることとお察しいたします。写真のために時間を割くということも難しい状況かもしれません。もしも可能であるならばで構わないと思います。水に浸かった写真アルバムを発見した際、できるだけアルバムを乾燥できる状態にしていただければと思います。
Album_Kanso1
Album_Kanso2
乾燥させる際はアルバムを立てて開きます。扇型にページを開き、中のページが空気に触れやすい状態にしておきます。洗濯ばさみがあればページが閉じてしまわないように留めておくことも有効です。新聞紙や段ボールなど吸水性のあるものが近くにあれば利用してもよいと思います。

参照:写真が海水や河川の水で濡れた場合の応急処置(富士フイルム)
http://fujifilm.jp/support/fukkoshien/faq/article007.html

泥をできるかぎり払っておくこと
が大切です。当方で洗浄サンプルを作成した際は、粘泥に浸した写真が数日で変質してしまったことがありました。土にバクテリアが大量に含まれているためと思われます。水だけより圧倒的に早く分解が進みます。できるだけ泥を落としておくことが大切です。
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額入り写真
額入りの写真はなるべく早めに額から出して乾燥させてください。額に入ったままだと水分が抜けず、そのまま写真の劣化が進みます。ガラスに張り付いて取れなくなる場合もありますので、早期の取り出しが必要です。張り付いてしまった写真は無理に剥がさないほうがよい場合が多いです。剥がす時は事前にデータを撮っておくことをお薦めします。スキャンサービスをしている写真館は多々あります。額に入った写真は大切な写真が多いのではないかと思います。放置せずに早めの処置をお薦めします。
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台紙付き写真

結婚式や七五三などの「台紙付き写真」
も同様にまずは泥を払い、広げて乾かすことである程度は劣化の進行を抑えることができると思います。泥が内部まで浸透していたら解体して内部の泥を落とします。ハケがあると便利です(ハブラシでも)。台紙のクリーニングは消しゴムが意外と役立ちます。台紙の内部は汚れた面を剥がす、他の厚紙に換えるなども有効です。全体にカビが蔓延していたら台紙は諦めるほうがよいでしょう。長期的に考えると写真にとってはベターです。その際は写真だけ保護して別のアルバムへ移し替えます。替えの台紙は数百円〜千円くらいの範囲で売っています(amazon.co.jp 写真台紙)。写真のサイズはこちらご参照を(用紙サイズ一覧.com)。
Daishi_Image

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卒業アルバム等(塗工紙)印刷物の保護
水濡れした卒業アルバムなど塗工紙(コート紙/アート紙)に印刷した冊子は、そのまま乾かすとページ同士がくっついて剥がれなくなります。東日本大震災の際は多くの卒業アルバムが水損し、そのまま固着して剥がれなくなってしまいました。非常に悔しく残念な記憶にあります。後になってからこそ見たくなるのが卒業アルバムではないかと思います。「取り戻したい」という願いを度々お聞きしました。複製サービスに立ち上がった写真館の方もおられます。それだけ保全できなかったものが多かったのだと思います。なんとかならないものかとずっと思っていました。

陸前高田市立図書館の資料修復をしてきた方々が、塗工紙についての検証をし、解決法を見い出されております。活動を通じて長いことこの件に悩まされてきましたが、本当に画期的で素晴らしい発見だと思います。卒業アルバムの救出にも希望が見えた気がしました。

まず何よりも早めの対処が必要だと思います。
写真よりも修復不能になるまでの時間が早いです。くっついてカビてしまいます。
以下の動画をご覧になってください。一般書籍に関する処置法も紹介されます。

被災・水濡れ資料の救済マニュアル 
東京都・東京都立中央図書館さん YouTubeより

©東京都

「濡れているときは貼り付かない」
「乾いたら貼り付く」

以上を記憶に留めていただけましたらと思います。

卒業アルバム(塗工紙)の初期処置は写真の場合と真逆です。いち早く濡れたままビニール袋に入れるが最初の保護処置です。乾くとページがくっつくためです。くっついたページはなかなか剥がれず、全体が固着するとほぼ救出不能になってしまいます。保護から処置までを以下に整理しました。動画と合わせてご確認ください。

Sotsual_Chart+
ビニールへの一時保護の後、すぐに処置できないときは、布団圧縮袋に入れる、冷凍するといった「時間稼ぎ」の方策があります。冷凍状態から解くときは、袋のまま解凍します。空気に触れると紙が乾いてくっつきやすくなるためです。その後の紙の状態を保たせるためにも軽く水洗浄を施します。ここでようやく乾かす処置になります。
乾かす際はページの間に吸水紙(コピー用紙などで可)を挟み、水を吸わせて乾燥させます。チラシを挟むのは塗工紙が多いので止めたほうがいいです。吸水紙を全ページに挟み、しばらく吸水させて、ある程度吸ったら吸水紙を取り替えてください。
この工程をページの表面がサラサラになるまで繰り返し続けます。余裕がない場合は吸水乾燥だけでもすぐにやっていただければと思います。
Sotsual_Kanso_Image
そのまま乾くとアルバムがゴワゴワになってしまいます。最後にアルバムを板で挟み、重りを乗せて平らになるように矯正します(フラットニング)。途中で何度か様子を見て、ページをめくって間に空気を送り込みアルバムを慣らすようにします。


一般書籍の場合(小説本など)は動画の他、以下も参考にしてみてください。
水にぬれた資料を乾燥させる
http://ndl.go.jp/jp/aboutus/preservation/manual_drying.html
国立国会図書館さんより

吸水の課程、フラットニングの要領は近いです。紙がくっつくかどうかの違いだと思います。一部でも塗工紙が入っている場合は「塗工紙あり」と考えて処置してください。

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アルバムの一時保護について
流出したアルバムを発見した際など、可能であれば直接持ち主の方へ渡していだだけるとよいと考えますが、難しい場合もあると思います。持ち主の方が判らない時もあるでしょう。東日本大震災の際は玄関先や路肩などに自然派生的に思い出の品が集まり、持ち主の方に引き取られていた経緯がありました。泥出しなどの作業中、一時的に保護される場合は、雨水に濡れない状態で保護していただけるとよいと思います。また風に飛ばされない工夫が必要かと思います。可能であれば屋根のある場所、屋外であれば覆いを被せいただけるとより確実に保護ができるはずです。容器は雨水が溜まりやすいプラケースなどを避け、排水性のよい容器に入れていただけると二次的な水没も避けられると思います。カビが発生する原因になるのでビニール袋には入れないようにしてください(卒業アルバムはページが張り付くので濡れたままビニール袋へ保護します[前述参照])。泥を払い、立て掛けていただくと水分が滞留せず写真の劣化も最小限に抑えられるでしょう。
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持ち主の方が判り、お会いできるのであれば引き取って直接お渡しするのが一番良いと思います。やむを得ずその場で保護する際はなるべく離さず判かりやすく保護するのがよいでしょう。遠くへ移動させると持ち主の方に戻らなくなる可能性も高まります。お宅が判る場合は玄関前が理想と思います。二次水没したり、飛ばされて散乱している例にこれまで幾度も遭遇しました。少しだけ工夫をしていただければと思います。自治体により集約場所が指定された際は所定の指示に従ってください。
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ビニール袋に入れっぱなしは、どのような局面でも好ましくないです。湿気がいつまでも抜けないので、バクテリアが繁殖し写真の像がどんどん分解されてゆきます。やがて台紙にもカビが生え、印画紙に移ってゆきます。アルバムのフィルムも剥がすことが難しくなります。必ず空気に触れる状態にしておいてください。

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写真の洗浄
水洗い

泥水に浸かってしまった写真について。多くの銀塩写真は水洗いすることができます。水没してから日が経っていない写真は水洗いがとても有効です。水濡れした写真は次第にバクテリアによる分解が進んでゆきますので、できるだけ早期の洗浄が望まれます。

洗浄に必要なものは、水、バケツ、吸水用のタオルなどです。
バケツに水を張り、写真を水に浸しながら少しずつ汚れを落としてゆきます。表面に腐食がない場合は、ほとんどの写真がこれで綺麗になると思います。

表面が腐食している場合は絵柄ごと落ちてしまう場合があります。中心部の絵柄は慎重に行ってください。写真の端の方から少しずつ洗浄していくのがよいと思います。人物像などの大切な絵柄を守りながらゆっくり洗ってゆきます。腐食した部分を擦ると絵柄も落ちます。背景の問題のない部分は落としてしまったほうがよい場合もありますが、この辺は写真の図柄を見て判断してください。特にご自分のものではない写真を洗浄する方、ボランティアの方にお伝えしたいことは、背景を落としすぎないように注意してほしいというお願いをしたいです。これは経験上痛感するところです。背景も含めて1枚の写真だということをよく考えて洗浄を行ってください。
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大方の泥汚れが落ちたら清水ですすぎをするとよいです。当方ではそのために洗い桶を2つ用意していました。すすぎ後は吸水タオルで軽く水気を取り(布きれで十分だと思います)写真を乾かします

乾かす際は、ネコ避け・カラス避けのようなものがあると便利です。無い場合は新聞紙の上に並べておくだけでも乾きます。屋外であれば洗濯物干しに干しておくのがよいでしょう。乾燥させることは、泥水から救出した後の一時処置にも有効です。写真を重ねず1枚1枚に空気が当たるようにしておきます。
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水洗いによる写真洗浄は富士フイルムさんのYouTubeにとても良い映像がありますので、そちらをご覧頂くのが一番解りやすいのではないかと思います。当方の活動でも多分に参考にさせていただき多くの写真を洗浄してきました。どなたでも簡単に実践していただけるものと思います。

写真プリントが水没し汚れてしまった場合の対処法
http://fujifilm.jp/support/fukkoshien/faq/article001.html

©富士フイルム株式会社

水洗いにより写真はとても綺麗になります。写真表面に付いた目に見えない汚れも落とすことができ、殺菌効果もあると思います。劣化がある部分は慎重に作業していただければと思います。劣化が深く進行してしまうと水洗いができなくなりますので早目の処置をお薦めいたします。早期の処置に水洗いはとても効果的です。

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水拭き/乾拭き
写真の状態により水洗いが有効な場合と、水洗いできない場合があります。劣化が深く進行した写真は、像が剥がれてしまうこともあるので、水洗いしないほうがよい場合が多いです。全体が劣化している場合は真っ白になることもあります。心配な時は写真のフチを少し試してから行うとよいでしょう。場合により部分洗いも有効です。当方で作業する場合は、人物などの被写体はしっかり残し、フチの部分だけ洗い落とすなどの処置をしていました。
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水洗いが困難に感じられた場合はウェットティッシュで水拭きをしたり、乾燥させて乾拭きしたりすると像を落とさずに綺麗にすることもできます。

写真がアルバムに入っている場合は写真の端の方から水が浸透していきます。全般的にに被災した写真はフチに沿って劣化浸食している写真が多いです。浸食が被写体に大きく被っていたら全体を水に浸けるのは止めた方がよいと思います。ウエットティッシュなどで端の方から汚れを落としていくのがよいでしょう。

作業の際はゴム製のニトリル手袋があると、写真に指紋が付かなくてよいと思います。無ければ写真側にセロファンなど当てるとよいです。浸食部分はインクも一緒に剥がれてゆきますが、バクテリアの要素を多く含んでいるので、問題ない部分は汚れと一緒に落とした方がよい場合もあります。大切な被写体を保護するために、その辺は様子を見ながら行ってください。汚れの全てを落とさなければならないわけではありません。

綿棒を利用すると細かい領域もクリーニングできます。紙が貼り付いた場合にも綿棒は有効です。全般的に拭き処置は水洗いよりもコントロールがしやすいです。部分洗いの後、水拭きというのは当方で頻繁に行っていた手順でした。写真像を守ることを第一に考えていただければと思います。

また無理をせず洗浄を諦めることも選択肢のひとつと思います。写真洗浄が写真の破壊に繋がる場合もあります。何もしないことが最善ということは多分にあることです。ボランティア活動で作業をする方がおられましたら、無理をしない、被写体を落とさない、白くしないということを最優先に考えていただけましたらと思います。時間を掛けすぎないこと、諦めることも肝心です。
ボランティアが何かをすることに価値を求め過ぎないこと。無事返却することに意味があること。この活動を続けてきてとりわけ大切だと感じることでした。

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その他の注意すべき写真
インクジェット/ポラロイド/チェキ/ラミネートパウチなどの写真は水洗いには不向きです。インクジェットはピンク色に変色し、ポラロイド類は中に水が入り内側からカビる場合もあります。水洗いの場合はさっと洗ってすぐ水気を切ってください。できれば拭いて落とすほうがよいと思います。

白黒写真はコーティングがないものが多くデリケート
です。水洗いの際はカラー写真よりも注意が必要だと思います。損傷が広い場合は濡らさない方がよい場合が多いです。当方では白黒写真の大半は水拭き乾拭きなどで処置をしていました。アルバムのフィルムが貼り付いた際は剥がすことが困難です。端を少しめくって絵柄が剥がれそうな兆候があれば、そこで止めた方がよいです。

上記以外の状態のよい銀塩写真のほとんどは水洗いできると思います。洗浄後の写真は水気をよく切り、物干しなどに干して乾かします。

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データ化による保護
可能であれば洗浄前にカメラやスキャナーでデータを撮っておくと、後に復元することもできるのでよいです。機材が手元にない場合はスマホのカメラでよいと思います。一眼レフやフラットスキャナーに比べると劣る面もありますが、撮っておくことで完全に失われてしまうリスクは避けることができます。データを撮る際はできるだけ泥汚れを落としてからがよいです。
Smartphone_Data
スマートフォンのスキャンアプリは現在では様々な種類があります。無料で利用できるものも多いです。当方では記録用に下記を使用していました。
Googleフォトスキャン  iOS android

撮影後は補正と切り出しを自動で行ってくれます。たまに切り出しに失敗しますが、背景に白や黒の布を敷くとよいです。明るい写真は黒、暗い写真は白の背景で撮ると比較的うまくいきます。本格的な機材を使用した画質には適いませんが、手軽にすぐデータ化できます。これで十分だという気がします。普通の撮影に比べバッテリー消耗は多いです。

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データの保護
デジカメやスマホで撮り溜めた写真データを、パソコンに保管しているという方が多くおられるのではないかと思います。パソコンのハードディスク(HDD)に泥水が浸水した場合は、とりわけ注意が必要です。HDDはプラッターと呼ばれるディスクに直接情報を書き込む構造のため、物理障害にとても弱くできています。中の泥水がそのまま乾くとプラッター上に不純物が付着して、読み出しができなくなってしまうことが多いそうです。

データを救出するには、HDDを乾燥させない。通電させない。ということをまず心掛けていただければと思います。

HDD-PC_Image
詳しい解説をいくつか紹介します。ご参照ください。
HDDが水没してしまった時の対処法(デジタルデータソリューション さんより)
ハードディスクが水濡れ、水没したら(DATA RECOVERY センター さんより)
水没の場合は濡れたまま復旧依頼を(livedoor NEWS さんより)

濡れタオルでHDDを包み、乾燥を防ぐという緊急対処法が紹介されています。いずれにしても日持ちはしないでしょう。データ復旧をする場合はいち早くデータ復旧を頼んだ方が良いと思います。

物理障害の際の修理はたいへん高額です。日頃からクラウドや他メディアにバックアップすることをお薦めします。
代表的な写真クラウド
Googleフォト(Google)
OneDrive(Microsoft)
iCloudフォトライブラリー(Apple)
などあります。

2017年 九州北部豪雨災害 に際してのパソコンメーカーの特別対応、修理・復旧業者のリンク、カメラメーカーの対応リンクなどを別記事でまとめましたのでご参照ください。
http://kagaiguma.blog.jp/archives/1066983550.html

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写真がくっついてしまった場合
重ねて保存していた写真がそのまま濡れて乾くと、写真同士がくっついてしまうということがよくあります。そのような写真でも大抵の場合はうまく剥がすことができます。

写真の浸食が軽い場合は、固まりを水に浸けて端から少しずつ剥がしていくとうまく剥がれてくると思います。隙間に指が入る程度進んだら、四隅や側面など様々な方角から剥がし進めるとよいです。最後にスッと分離するはずです。固まりが大きい時は、最初は大まかに分け、それをさらに数枚単位に、最後に1枚ずつを剥がすというのがやりやすいかと思います。水はぬるま湯くらいが良いですが、普通の水道水くらいの温度でも十分剥がすことができます。もしもポットがあるならばちょっとお湯を加えるとよいと思います。
こちらも富士フイルムさんの動画(くっつき編)をご覧ください。
写真プリントが水没して何枚もくっついてしまった場合の対処法
https://youtu.be/8b7nu2ndnM0
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写真の浸食が重い場合は、水に浸けることは避けるほうがよいです。指で触れている内に表の絵柄が落ちてしまいます。水に浸けずに剥がしやすい箇所を基点に注意深く剥がしていくのがよいと思います。この際には間に少しずつ水滴を垂らしていくとその箇所が剥がれやすくなります。指で絵柄を落とさないように注意をしてください(内側の写真も外側の写真も)。途中で一旦乾かして、水気を抜いたり、また剥がしたりを繰り返しながら進めると、少しずつ剥がれてくると思います。剥がれにくい時は裏からホカロンなどで少し温めるとゼラチン質が軟化し、多少剥がれやすくなります。表面同士がくっついたときは非常に剥がし難いです。温めつつ水を注入しゆっくりと分離させます。水分と熱を適度に加えられるスチーマーがお手元にあれば役に立ちますので利用するとよいと思います。

部分的に剥がし辛いときヘラ状のもので少し介助を入れると剥がしやすくなります(ペインティングナイフ・スパチュラ・カッターの刃など)。写真を切らないように固着部分をこじ開けるように開いていきます。写真が傷つくリスクは多少あります。一部の領域だけが固くこびり付き、そこを越えるとスッと剥がれるというケースも多くあるので、ある領域だけが引っかかる時はやってみてください。剥がれた裏紙が張り付いた場合は後から取り除くことも出来ます。極力下の写真面を優先します。

処置を行うときは熟考しながら行ってください。守るべきは人物像と考えてよいと思います。顔などが傷つきそうなときは止めた方が良いです。ですが、くっついたままでは永遠にその写真は見ることができないというのも事実です。両方考えて決めていただければと思います。器具を使った剥がし処置は最後の手段です。処置までに時間が経ってしまうとそのような写真が増加します。

少し踏み込んで記しましたが、どうしても剥がれない写真というものもあります。端を少し剥がすと分かると思います。そのような写真は無理をせず断念したほうがよいと思います。白黒写真の多くが剥がれない場合が多いです。無理をしてもおそらく破壊にしか繋がらないでしょう。いつか剥がせる技術や透かして見れる技術が生まれる。そう信じることにしましょう。

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アルバムの解
アルバムを解体し写真を取り出す

濡れたれたアルバムに写真を入れたままにしておくと台紙などからバクテリアの増殖が進むことがあります。乾いたものでも一旦水に濡れてしまったアルバムはできれば解体して洗浄することをお薦めします。当方の過去マニュアルに解体に関する図版がありましたので添付します。
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フエルアルバム(接着するタイプ)の場合
カッターで写真周囲に切り込みを入れ、カバーフィルムごと写真を取り出します。いきなりカバーを剥がしてしまうと、写真の像まで一緒に剥がれてしまう場合があります。カバーごと一旦アルバムから離してから、その後でゆっくりと写真を取り外します。切り込みを入れる際は裏側の写真を切ってしまわないように気をつけます。

ポケットアルバムの場合

ポケットアルバムはカバーの蝶番を外してしまうと簡単に解体することができます。この場合も同様に、写真は引き抜かず、カバーごと写真を外し、その後に写真を取り外すようにすると綺麗に剥がせると思います。
PhotoOukyu_03_hagashi+
カバーフィルムから写真を剥がします。フエルアルバムの場合、裏面に接着糊が付いていることがあります。カバーを剥がす前に、先に裏面の糊を落としておくとよいと思います(後からやると表面が傷ついてしまうことがあります)。裏面はわりと丈夫ですので劣化がない場合はナイロンたわしなどで擦っても大丈夫です。写真の紙質を見て判断してください。

表面のセロファンを剥がす際は、劣化の少ない側から剥がすとよいと思います。人が写っている場合は顔とは反対の方向など、なるべく影響の少ない方角からゆっくり剥がすようにします。顔に劣化が掛かっている場合はより慎重。場合により剥がすことを断念する必要もあるかと思います。

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解体に関する作業法(洗浄についても)はハートプロジェクトさんのマニュアルにより詳細な記述がありますので、参考にしていただければと思います。その他の工程も一通り説明してあります。組織的なボランティアとして動く方々がいらっしゃいましたら、写真管理の面でもとても参考になると思います。

ハートプロジェクト洗浄マニュアル(PDF)
http://www.photo-takano.jp/heart-project/pdf/manual_20111104.pdf

引用させて頂いた富士フイルムさん『写真でつながるプロジェクト』HPです。
http://fujifilm.jp/support/fukkoshien/

富士フイルムさん『写真でつながるプロジェクト』(旧名:写真救済プロジェクト)には、様々な写真洗浄方法、検証が載っています。当方でも活動当初より多くを参考にさせていただきました。

その他、当ブログ2014年8月〜2015年1月頃の活動報告に洗浄期の記述が多数ありますので、ご参照ください。

主に初期段階の応急処置に限定してまとめました。被災された皆様の写真を救うにあたり、役立つ部分があれば参考にしてください。有用な部分があれば実践してみてください。
(課外のあらいぐま 一同)