長らくブログの更新をしていませんでした。
Twitterで簡単な進行をお伝えしていましたが、作業を優先するためにブログはしばらくお休みしていました。ある程度落ち着いてきたらと考えていたところ、最後の更新からは1年以上経ってしまいました。すみません。

その間に数十日間の活動があり、アルバム/データ化を終え、今年(2016年)8月までにお預かりしていた写真は全て返却いたしました。作業としては一段落ついたと思います。

当方より岩手県釜石市へ返却した写真は約5万枚、3800余りのアルバムになり、全てのデータ化が済みました。データには写真そのものと、返却に結びつく手掛かり情報、それぞれがあります。
20161023_01
ご協力いただいた方々の尽力に拠るところで、無事完了できたことは本当によかったと思っています。同時に終わりは始まりでもあります。写真アルバムとデータは今後の返却に役立てられるものになってくると思います。

活動は当方だけでなく各所で同時進行し、総合的に動いていました。釜石をはじめ、横浜・光が丘・山口周南・長崎の各団体。さらにボランティアイベント、企業CSR活動、組合・個人による活動、様々な場所で進められていました。それだけ人手を要する作業でもあったと思います。現在は相当数の写真がデータ化され返却可能になったのではないかと思います。

————————
東日本大震災から5年半が過ぎ、思い出の品返却をめぐる状況は変わってきています。
返却を中止し処分を開始した自治体もあり、一方恒久的な返却体制を目指す自治体もあります。いつまでも返却活動は続けられないという意見もあり、また時間が経ってからこそ必要だという意見もあります。どれも真実で理由があると思います。

この度の件に着手するにあたり最も考慮したことは、どうすれば効率的に、かつ永続的に返却活動を続けていくことができるかということです。これからも安心して閲覧できるベース作り、そして長期的に負担にならない形の返却基盤。そのための準備。

進めるにあたっては、関係者間で何十回も協議を重ねました。作業が始まってからも何度も軌道修正し、より良き形を模索しました。効率的に進められないということは「続けられない」ことにも繋がります。負担が嵩むことで打ち切りになってしまうとしたらとても残念なことです。「無理なく運用できる基盤作り」。最後の最後までそこを考慮しデータとアルバムに反映してゆきました。

そして写真を探す方にとって優しい形。捜しやすいベース作りを心がけました。膨大な写真の中から特定の写真を捜し出すことは大変なことです。条件を絞り込むことで、見つけられる可能性も高まるのではないか。そう考え作業にあたりました。この点、データの利点は大きいと思います。検索や代表写真からも捜すことができ、同じ持ち主の方と思われるアルバムには関連性を持たせました。

データのメリットはもうひとつ、コンパクトにできるということがあります。ノートパソコンひとつにも収められ、コピーを作ることができます。少ない管理で運営してゆくことが可能で、複数の拠点に置くこともできます。閲覧に当たっては実物を動かさなくても捜すことができ、出張返却にも対応できる。機会を増やせるメリットがあります。

各地の返却施設終了の報を受けて、この問題は真剣に考えました。常設展示場でいつでも捜すことができる環境があることは理想と思います。しかし維持管理・予算面での問題は避けて通れないことでもあり、しばらく上手く運んでいったとしても、いつかこの問題に直面しないとも限りません。なるべく最小限の負担で、できれば長く続けられる。そうした方策はないか。できる限りそうしてゆけるように準備をしよう。常にそれを念頭に作業に当たりました。

————————
データ化の一方で、写真はもともとの「写真そのもの」があります。
写真がデータでやりとりされるようになったのは、スマホ/デジカメが一般化してからのことと思います。流出した写真の多くは紙焼きの写真で、多くの方が「写真そのもの」を探してきました。写真には人それぞれの思い出と、生活の歴史が刻まれています。それを取り戻した時の喜びは特別なものであると、各地の返却会場の方からは聞かされていました。

写真そのものの価値は持ち主の方にとっては唯一無二のものである、ということは作業中にずっと意識していたことです。
お預かりした写真は長期保管にも耐えられるように洗浄し、アルバム装丁しました。今後も愛着を持ち続けていただけるものと考えております。
持ち主の方のもとへ戻ってゆくことを願っております。

————————
課外のあらいぐまとしての活動は一段落しました。
未報告でいた1年分の報告をUPしたいと思います。
返却に至るまでの経緯を一通り記します。
とりわけ写真とデータの準備状態を知っていただけましたら本望です。
不備がありましたら再び修正に上がります。
今後の一助になりましたら幸いです。
これからも遠くより見守っております。

記事内の写真には一部修正をかけています。写真に写る方々と参加者さんのプライバシーを守るための措置です。誠に失礼なこととは存じますが、ご了承ください。

今後に期待を込めて。
(K1)