9/9(水) 返却報告 
陸前高田
デジぐま最終返却
釜石:盛岡返却会分返却

東京は雨です。
台風17号・18号に挟まれ不安定な状態が続いていました。
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コミセンでの活動も大詰めの状態でしたが、一方で返却準備も進めていました。
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1つはデジぐまです。
陸前高田への返却に向けて、8月後半よりデータの集約を進めていました。プリント写真は8/16のROCKCORPSで整理ができました。9月第1週目までにデータも整い、ようやく返却に漕ぎつけました。
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『デジぐま』は撮影データとして残っていた写真を、1枚1枚切り出して返却できるようにする後追い型のデータ作業です。2013年より続けてきました。切り出しするデータは、2011年当時に撮られたもので、拾得されたままの写真がほとんどです。泥が付着しており、現在では写真の像が残っていないものも多くあります。複数の写真を並べて「現状記録」として撮られたデータで、そのままの状態では返却することができませんでした。その1枚1枚を切り出し、プリントして返却できるようにする。そのようなものです。作業はサーバーを介し、承諾をいただいたデータボランティアさんとともに進めていました。

写真には歪みがあり、切り出しはとても困難なものでした。それでも時間さえあればなんとか1枚1枚にすることはできます。ある程度時間が掛かることは当初より予想していました。誰もやらなければずっとそのままで、失われた写真は永遠に返却できないことになります。コミセン活動と並行して少しずつですが進めてきました。
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返却はこれまでに何度か行っています(参照:2014/12 2014/6 2014/1 2013/10)。基本的には元アルバムにデータとプリントを追加するという形で返却をしていました。どのアルバムにその必要性があるのかということは、1つ1つ現物アルバムを見て確認します。
長きに渡りましたが、ここへきてようやく終着を向かえることができ、最後の返却です。プロジェクト全体を通して失われた写真の多くを復元することができたと思います。

写真には洗浄により失われてしまった像も数多くあります。それは致し方ない一面もありました。2011年当時は膨大な数の水濡れした写真があり、腐食進行が進む中で急務として一括の水洗浄を進めざるを得なかった状況があります。写真が乾ききった現在のように落ち着いて作業ができる状況ではありません。かつ未曾有の出来事で、方法に関する蓄積も少なく試行錯誤の中でその方策を導き出していった、というのが写真洗浄活動全体の経緯でもあります。被災地のみならず全国で洗浄活動が行われましたが、そのような積み重ねのもと現在があるということをどうかご理解いただければと思います。

濡れた写真を腐食から守るために、これまでの経験より分かったことは

 ●放置せず、いち早く水気を抜くこと
 ●カメラやスキャナーでデータを撮っておくこと
 ●早期に洗浄すること
 ●人物像を落とさぬよう細心の注意を払うこと

以上のことを今後とも記憶に留めていただけましたらと思います。これまでの活動を通してひとえに痛感することでした。これから先も水害があるでしょうが、その際にもどうか思い起こしていただけたらと思います。

この度の件もデータが残っていたので復元することができました。
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デジぐまは今回が最後の返却になります。37件909枚のデータとプリントが準備できました。9/9に陸前高田市思い出の品さんへ向けて発送いたしました。
これまで関わっていただいた皆さん、お疲れさまでした。



そして釜石です。
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8月22日(土)23日(日)に盛岡市のイオンモール盛岡南店さんで、岩手県自治体の「合同写真返却会」が開かれました。FM岩手さんが主催です。参加した自治体は陸前高田市・宮古市・野田村、そして釜石市です。

県庁所在地でもある盛岡市内には沿岸より避難して来られた方が多く暮らしています。お仕事として来ている、赴任されているという方もたくさんいらっしゃいます。盛岡市内で返却会を開催するということは地元開催と同様の大きな意義があることと思います。さらにイオンモールさんでの開催ともなると、この機会を知らなかった方でも立ち寄れる可能性があります。「お買い物に来たらやっていた」というのはまたとない機会です。イオンモールさんでは前年にも同様の開催がありましたが、釜石市が参加するのは今回が初めてのことでした。

洗浄データ化を現在進行で進めていた関係者にとってこれは一大事でした。終わり切ってはいませんが、頭に描こうとしても描ききれなかった「実際の返却」という機会が、2日間ですが実現します。
それに合わせて光が丘さんでは大判写真を中心に返却を行っており(参照)、ねこの手さん/連合神奈川さん(参照)、山口あらいぐまさん(参照)も急遽返却をしました。

当方からは・・   誠に遺憾ながら完成アルバムの返却はできなかったのですが、すみません。しかし少しでも貴重な2日間のためにと、これまでに仕上がったデータを当日2日前までに一括お送りさせていただきました。直前までスキャニングしていたデータも含めて現状全てを一旦お送りし、返却会で閲覧していただくことになりました。

陸前高田市思い出の品さんより、当日の様子です。
参照:陸前高田市思い出の品さん Facebookより

後日、閲覧していただいたデータの中から写真が見つかったという連絡があり、原本アルバムをこの日9/9に発送をさせていただきました。当方から釜石へは初めての返却です。それがさらに持ち主の方が判明した返却ともあり、この活動に対する確信はさらに大きなものになりました。
残る写真も早く返却ができるように。
思うところはそこに尽きます。
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土砂降りの中、ビニールで段ボールを何重にも包み郵便局に持参しました。
豪雨が来たかと思えば、一旦止んで、また豪雨。。 おかしな天気でした。
東の空には2重の虹も見ることができました。
ひとまず返却ができたのでこの日はホッとしました。

その翌日ですが、関東東北であの水害が起きます。
諸々の作業はまた引き続きます。
(K1)