課外のあらいぐま

被災写真の洗浄・データ化をしています。東日本大震災で被災した地域の写真救済活動に取り組んできました(陸前高田市・釜石市)。
現在活動を再開し、2018年西日本豪雨で被災した倉敷市真備町の活動サポートをしています。
写真のことでお困りのことがあればご連絡ください。

2014年05月

ROCKCORPS」という音楽イベントがあります。
2003年にアメリカより始まりイギリス、フランス、イスラエルなどで開催されてきた、
音楽イベントとボランティアの協働プログラムです。
音楽を通し、社会へ貢献する活動を広めていこうという、ひとつの目的を持ったイベント。
この度2014年は日本で開催されることになりました。
日本での開催は主に震災関連ボランティアに集約されています。
参照:実行委員会主幹事 (株)サニーサイドアップ
ROCKCORPS
ボランティアをすることでイベントへの参加が認められます。
ROCKCORPS JAPANよりエントリーし、
各々規定の「4時間のボランティア」をした人のみが音楽イベントに参加できます。
音楽イベントの開催は9月6日(土)福島県福島市のあづま総合体育館で行われます。

この度「ROCKCORPS JAPAN」事務局よりオファーを受け、
近郊の「あらいぐま作戦」総体としてボランティア参加の受け容れをすることになりました。
開催するのは、
 「あらいぐま作戦@茅ヶ崎」 海辺のあらいぐま
 「あらいぐま作戦@東京」  課外のあらいぐま
茅ヶ崎は海辺のあらいぐま会場、課外は都内のオフィス会議室を借りての開催になります。
 
参加人数と会場の条件を考慮し、課外としては「あらいぐま作戦@東京」として、
普段のレギュラー開催とは別に開催することにしました。

音楽イベントということもあり若い方のご参加も多くあるかもしれません。
これまでボランティア活動をしたことがない方に新たなきっかけが生まれることもあるでしょう。
これを機にボランティアへ参加すること、被災された地域へ目を向けてみることに繋がればとても有意義なことだと思います。

内容としても多くの方にご参加いただくことで、より多くの作業を進行させることができると思います。
作業そのものはコミセンでのレギュラー活動(釜石市の写真)と連携して進める形になります。

ROCKCORPSボランティアへの参加は、下記ROCKCORPSサイトよりご応募ください。
ROCKCORPS JAPAN(http://rockcorps.yahoo.co.jp/2014/)

現在の開催予定は

「あらいぐま作戦@茅ヶ崎」
7月21日(月)12:30~17:00

「あらいぐま作戦@東京」
6月29日(日)08:30~13:00(午前の部)
6月29日(日)13:30~18:00(午後の部)
7月06日(日)08:30~13:00(午前の部)
7月06日(日)13:30~18:00(午後の部)
7月27日(日)08:30~13:00(午前の部)
7月27日(日)13:30~18:00(午後の部)

本日5/29より受付が始まっています。
まだ未定ですが8月の開催についても検討中です。決まり次第お知らせします。

同様のROCKCORPSボランティア募集は、
千葉県のフォトサルベージの輪さん(写真データ化)、
当活動で関わる釜石市からは三陸ひとつなぎ自然学校[さんつな]さん(海岸の清掃) もあります。
さんつなさんでは日頃から復興に向けた様々な取り組みをされています。
よろしかったら参加してみてください。
各回定員になり次第締めきりになると思います。参加希望の方はお早めに。
(K1)

企業CSRの方から課外へ連絡いただいたことがきっかけだったのですが、
社内会議室で社員の方々と洗浄会を行えるいうことで、都内某所へ出張してきました。
事務局リーダーの方が課外のあらいぐまに事前に参加され、当日の進行や備品の準備などについて打ち合わせを進めて参りました。

参加人数は33名。社内募集して数日で満員になったそうです。
とても広い会議室の床とテーブルに1.8m×100mのブルーシートを敷き詰め、規模が大きい開催となりました。大きなプロジェクタに手順を映しながらマイクを使っていつもより長めに説明しました。
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朝一はやはり水洗い。前週にコミセンでスキャニングした写真の続きを行いました。
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泥に含まれるバクテリアによって写真表面のゼラチン質が腐食し、インクが崩れてる写真が多かったのですが、絵柄が僅かに見えれば「残す」よう洗っていただきました。濡れた手で触るだけでインクが落ちてしまうので最初は慎重でしたが、すぐに慣れていただいて「残す洗い方」を実践していただきました。
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ねこよけを持っていったのですが規模が大きいために全く足りず、平置きで干してます。
テーブルも大きく余裕あります。
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午後はアルバムから剥がしと砂落とし。
いつものスキャナを3台持ち込み、スキャニングも行いました。
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刷毛で泥や砂を払います。
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2枚ががっちりくっついてしまっている写真もありました。
ゆっくり剥がしますが、うまくいかない場合は固着面に少しお水を垂らすと剥がれ易くなります。
但し、損傷が大きい写真には水を使うとインクが流れてしまうので、カッターの刃を使って少しずつ離していく場合もあります。どうしても剥がれない写真は無理に剥がさずそのままにしておきます。
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裏面に粘着式アルバムの台紙や糊がこびりついて取れない場合は、ヘラやプリペードカードを使い剥がします。震災直後はナイロンたわしを使いすぐに剥がれましたが、現在は完全に乾いて固まってしまいなかなか剥がれません。
どうしても取れない場合は無理に剥がさずそのままにします。
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フエルアルバムは1冊1班で取り組むことが多いです。
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今回のために作業手順の資料を作ったりしたのですが、
最近は通常開催でも初参加者さんが多いので、近々ブログ上にマニュアルをアップしようと思い始めました。工程別に
(1)アルバムからの剥がし・砂落とし編
(2)スキャニング編
(3)水洗い編
(4)最終仕上げ編
でしょうかね。事前に初参加者さんに見ていただけたら当日よりスムーズになるかな。
一気に全てをアップするのは難しそうなので、徐々に。

今後出張開催をすることも増えていきますが、コミセンでのレギュラー開催と連携で進めてゆく予定です。


(松浦)

5/18(日) 西久保コミセン

初参加8人を含む18人の方へご参加いただきました。
この日もいつも通り、朝は水洗いからスタート。
20140518_西久保コミセン1
これが基本セットです。
洗って、すすいで、吸水シートの上で水気を取り、ねこよけに並べる。
溜まってきたら後ろに見える仮干し台へ置き、いっぱいになったらアルバム単位で送風機のある本干し場へ持っていきます。
20140518_西久保コミセン6
3名1班で作業することが多いと思います。
20140518_西久保コミセン9
水洗いの最中にも気になった箇所があればその場で対処、つまようじや綿棒を使ったり。
対処しきれないときは、管理表へ伝達事項を記し次の工程(最終仕上げ)へ託します。
絵柄が消え落ちてしまわないように注意を払いながら洗います。
20140518_西久保コミセン8
午後からはアルバムからの取り出しと砂落とし。
20140518_西久保コミセン4
泥粒が固まりになっている箇所はプリペードカードやカッター刃を使い、泥粒を落としていきます。
力を入れすぎると傷がついてしまいます。軽く走らせるだけで大丈夫です。
大まかに取れたら、ハケや布で乾拭きし表面をなめらかに。粉っぽい砂も綺麗に落とせます。
使用しなくなったプリペードカードをお持ちでしたらご支援いただけましたら助かります。
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フチ付き写真のエッジは定規を当てて拭きます。
白フチの泥汚れを落とすだけでも写真の印象がまったく違って見えます。
20140518_西久保コミセン2
裏面のインク汚れは水で絞ったメラミンスポンジや、エタノールで綺麗になります。

フエルアルバム台紙の糊(接着剤)もエタノールを使ったり、ナイロンたわしでこすります。
なかなか取れないときは、プリペードカードを使う場合もあります。
どうしても取れない場合はそのままでも構いません。

基本的に表面にはエタノールを使用しませんが、水洗いで落としきれなかったインクを拭くことがあります。その場合は布に染みこませて少しずつ拭いていきます。
20140518_西久保コミセン7
スキャニングはドキュメントスキャナーとフラッドベッドスキャナーを併用しています。
ドキュメントスキャナーはヘッドにホコリな乗ると線状のノイズが出てしまいます。

フラッドベッドスキャナーの場合はガラス面にインクが付いてしまうことが多いようです。
よい画質でスキャニングするには頻繁に画像確認しながら、ノイズが出る前に小まめなクリーニングをすることがが大切です。
20140518_西久保コミセン10
こちらのスキャナーとノートパソコンは最近ご支援をいただいた機材です。
早速使わせていただいています。ご支援ありがとうございました!
メンテをしていただいたOさんタラちゃん。助かりました!
20140518_西久保コミセン12
カーゴのご支援もいただきました。荷物一式がぴったり収まります。
台車で2往復していたことも多かったので助かります。ありがとうございました!
ご紹介をいただき、運搬も手伝ってくれたKanaちゃん、サンキュー!!

この日は企業の方のご参加もあり、支援のご相談も受けました。
今後ともよろしくお願いいたします。

作業の合間には先日放映された陸前高田市思い出の品さんの番組録画も見ました。
返却会場や出張返却会の様子がわかり、参加した皆さんは熱心に見ておられました。
いま取り組んでいることが持ち主の方への返却に結びつく活動だということをご理解していただけたのではないかと思います。

皆さんのご協力で成り立っています。
引き続きご協力いただけましたら助かります。


5/25(日) 御殿山コミセン

実はこの前日に出張開催をしたのですが、その報告はまた後ほど。
初参加7人を含む17人の方にご参加いただけました。
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この日も水洗浄からスタート。前日の出張開催でスキャニングした写真を洗います。
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干す際には隣のアルバムと混在しないよう、留意します。
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インク滲みや、水洗いで取り切れない細かい部分の汚れを落として仕上げます。
ベタつきが取れない写真はニス仕上げをします。
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スキャニングは主に前日の午後に砂落としした写真です。
これから出張開催をすることも増えていきますが、コミセンでのレギュラー開催と連携で進めてゆく予定です。
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大活躍のドキュメントスキャナー「ScanSnap」です。
純正のドライバソフトで取り込んでいるからか、とても色合いが綺麗で後からの補正はほとんどなしで済んでいます。
画質設定は「エクセレント=600dpi」。圧縮率は最も低い値(高画質)に設定しています。

しかしスキャナーのヘッドはとてもデリケートで、ヘッドに塵が乗っていると線状のノイズが入ってしまいます。画像確認をせずに進めてしまうと後でやり直しになってしまうこともしばしば。
頻繁に画質確認することが大切で、小まめにクリーニングします。
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ドキュメントスキャナーのヘッド及びフラッドベッドのガラス面のクリーニングには、無水エタノールとキムワイプという紙布を使います。キムワイプは紙粉を残さず拭くことができるため、ヘッドクリーニングには重宝します。
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キムワイプにエタノールつけ、一回拭き。
その後に拭き跡を消すため乾いたキムワイプでもう一度。

アルバムごと、あるいは大きな一群ごとにヘッドを拭きます。
通常のドキュメントスキャンではここまでやることはないと思いますが、
高密度の写真を高解像度で撮るためには、クリーニングは欠かせません。
ドキュメントスキャナーは簡単で速いという利点がありますが、
綺麗なデータを残すにはこのようなメンテがとても重要になってきます。

この日も休憩時間には陸前高田市思い出の品さんの録画を見ました。
持ち主の方への写真返却を知っていただくことはとても重要なことだと感じます。
今後ともお力添えいただけましたら幸いです。
(K1)

5/5(月祝) 中央コミセン

中央コミセンでの開催。この日は初参加5名を含む16名の方にご参加いただきました。
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作業説明。
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この日は洗いではなく、午前中からアルバムの剥がし+砂落としが中心でした。
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ドキュメントスキャナはScanSnapと共にKodakも使用しています。このKodakは気仙沼のデータ化で使用されたことで記憶に残っておりました。
ドキュメントスキャナのメリットは操作が簡単で早いこと。デメリットは頻繁にヘッドクリーニングをしないとデータに筋のようなノイズが入ったり、損傷写真は詰まってしまうので使用できないことです。
写真の状態を見てフラットベッドスキャナとドキュメントスキャナを使い分けています。
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前半2日間の進みが早かったので、次のダンボールを開梱して管理表を入れる作業もしました。

上は最新の管理票です。現地の管理番号「00-3-3739」は長くて間違えそうなので、課外番号「K-0603」に簡略化しています。相互の紐付け変換はエクセルやリネーマーなどのソフトを使用して一括作成します。
工程項目はポイントを絞り簡略化していますが、最新版では日付を入れることにしました。不具合が見つかった場合、その日付のものを確認すれば大抵のことは解決します。
枚数欄は、スキャニング後にファイル数と現物枚数がマッチしているかを確認してから記載します。

特記事項は自由に記入する欄になっています。次の工程の方向けに伝えたいことがあれば、何でも書き込んでください。「メモあり」「要補修」「要ニス」「要エタノール」・・など、私感で構いません。ひとりひとりの細やかな注力が品質向上に繋がります。
作業が途中の時は「途中」と大きくマジックで記し、誰が見ても一目でわかるようにしてください。
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剥がし漏れ対策として、空になったアルバムにも全て管理番号を書くことにしました。開催終了後、全て再チェックします。

どれだけ気をつけてもミスは起こるものです。人の手で進める以上こればかりは仕方がないことだと思い、ミスが起こること前提で手順を見直すことにしました。
それでも剥がし終わった後は今一度アルバム内に写真が残っていないかチェックするよう心がけてください。次のアルバムに着手する前に、すぐ網袋へ入れまとめることが大切です。

連休3日目は1枚バラの剥がしなど細かい作業が多く皆さん根気よく取り組んでいただきました。
1日お疲れさまでした!


5/6(火祝) 吉祥寺南町コミセン

連休最終日。南町コミセン地下ホールはこれまで開催した中で一番広い会場です。
初参加6名を含む17名の方にご参加いただきました。
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この日はいつもより少し長めのレクチャー。午前中〜午後2時半までは水洗いを中心に進めます。
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洗いの際の長テーブルの置き方をこれまでは2本向かい合わせにしていましたが、2本を離して間に人が入り作業するように変えました。1本は洗い専用、もう1本は仮干し場にします。
ひとつのアルバムが洗い終わったら、ホール隅の乾燥スペースへ持って行きます。

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ネコよけを使うと間にも風が入り乾きやすくなりますね。広いのでゆったり乾燥できました。
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午後からはアルバムからの剥がし。ハケで砂粒を払います。

釜石の写真は2011年当時、現地で洗浄しポケットアルバムに収納されているものも多いのですが、湿気が籠もってアルバムの透明フィルムにくっついてしまった写真も少なからずあります。そのような場合は無理にフィルムを剥がすことはせず、端の方を少しめくってみてインクが剥げてしまいそうならそのままにしておきます。

絵柄を落とさずできるだけ良い状態でスキャニングするよう心がけています。
張り付いた透明フィルムを剥がせるか剥がせないかはケースバイケースなので、分からない時は洗浄リーダーへ訊ねてください。

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この日もお馴染みのお兄さんが超多忙の中駆けつけてくれました。どんな時も作業にブレはありません。1枚〜5枚くらいの細かいアルバムばかりを100セット以上スキャニングしてくれました。いつもながら脱帽です。


この日は、長崎県大村市で写真洗浄を続けられているハートプロジェクト長崎の代表さんがはるばる活動へ訪れてくださいました。GWに陸前高田や山元町を回られたあと、東京に寄ってのご参加です。様々な話をしましたね。作業面でも洗浄班を見てくださりとても助かりました。今後ともよろしくお願いいたします!

流山で活動をしているサニーさんも来ていただけました。終了間際には海辺のあらいぐま代表さんもいらっしゃり、ロビーで話をしました。

4日通しで活動を前進することができました。ご参加してくださった方、お疲れ様でした!


5/11(日) 吉祥寺西コミセン

GW期間中に溜まってしまったことが多くありましたのでこの日の活動は一般募集せず、主にイレギュラー中心の作業を行う調整日としました。

主に、データと写真の照合チェック/返却のためのまとめ/補修やニスなどの追加作業/機材メンテ等。
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混沌としています! いろいろなことを同時並行でやりましたので会場の広さが役立ちましたね。
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ずらっとPCを並べ、データチェックは1日中続きました。
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外へ出てニス吹きも。
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写真は通気性のよいカゴに入れています。このカゴはダイソーですが、取っ手を倒して重ねることができ大変重宝しています。送風機の前に置くと乾燥させることもできます。

スキャニングデータが良好でなかったものは、その場で再スキャンをします。
大判アルバム・台紙入りアルバムなどもこの日にまとめてスキャンしました。サイズの大きな写真は2分割に分けてスキャニングし、データ上で1枚に合成します。
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返却する写真もまとめました。現地で管理している番号順に並び変えたり、折れてしまいそうな大判写真は厚紙を入れ補強します。そう遠くないうちに返却したいと考えています。

17時以降も別の部屋を借り、21時閉館ぎりぎりまで作業が続きました。
一般募集をすることはないと思いますが、これからは月一くらいで調整日を設け細かい作業を進めていきたいと思っています。


(K1)

GWは4日間連続の開催となりました。
多くの皆さんのご参加のもと、しっかりと前進できたのではないかと感じます。


5/3(土祝) 本宿コミセン


初めて開催する本宿コミセン。初参加11名を含む25名の方のご参加でした。
土足禁止の広いホールなので写真を床に広げて仕分けをしたり、干すのも悠々とできました。
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午前中は洗い、午後は最初の工程である「前処置(剥がし・砂落とし)」を中心に進めました。
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アルバムから写真を剥がし表面の泥や裏面の汚れを落としてゆきます。この工程はスキャニングで綺麗なデータを残すために行います。スキャニング後にしっかりと洗浄をするのでこの段階ではあまり深追いはせず、砂・泥を払う程度に留めます。
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写真のように台紙ごとくっついている場合は丁寧に剥がしてゆきます。
裏面に粘着台紙の糊がくっついている場合はナイロンたわしで取り除きますが、なかなか取れないときは少しエタノールを吹くと接着成分が溶けて剥がれやすくなります。エタノールは表に掛からないように注意します。
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この日は初参加の方が多かったのですが、頼れる常連さんも飛び入りで参加していただけました。いつもお世話になってます! 処置の難しい写真を一手に引き受けてくださりとても助かりました。
補修や丁寧な拭き作業が必要なものは別カゴに入れて管理しています。
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最近熱心にご参加いただいている元気な男子です。
勢いがあり、根性があり、彼が来るだけでこちらも気合い入ります。
ScanSnapというドキュメントスキャナーを使っているのですが、彼にScanSnapを任せたら一流。
写真のセッティング・交換・保存・ヘッドのクリーニング、すべてを完璧に進めてくれます。
初参加の方にもどんどんスキャニングをやっていただいていますが、分からないことがあるときは彼に訊ねてみるとよいと思います。頼りにしております!

この日は写真修復士のSさんもお越しいただき、大判写真や額にはりついた写真などを見ていただいたり、現在取り組んでいる釜石市の写真、周辺の写真洗浄・返却場の状況などいろいろ情報交換することができました。ときどき来ていただけると助かります。またお会いしましょう。ありがとうございます!


5/4(日祝) 吉祥寺北コミセン

吉祥寺北コミセンでの開催。この日は初参加12名を含む19名の方にご参加いただきました。
この会場での開催は2回目。地域の方にも広めてゆきたいのでできるだけ広範囲のコミセンを選ぶようにしています。
吉祥寺通りを北上する道はりす会へ通っていた方には懐かしく感じるかもしれません。
りす会あじとより手前を曲がった住宅街の中にあります。

この日も初参加者さんの方が多くいらっしゃいました。皆さん理解が早く、各班に分かれた後もそれぞれ相談し合いながら進めていただけました。30分も経たないうちにおおよその感覚は掴めると思います。
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午前中は洗い、午後から剥がし・砂落としの進行。この流れはほぼ毎回基本になりました。乾かして撤収しなければならないので、午後2時半以降の水洗浄はしません。

各テーブルに2つずつ洗い桶とすすぎ桶を置き洗います。
洗い終わった写真は吸水タオルや吸水スポンジでしっかり水分を取ることで乾かす時間を大幅に節約できます。ネコよけに並べ、アルバム単位で送風機の前に置きます。
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進める内にネコよけが不足するので、乾いた写真から取り込みネコよけを解放。その繰り返し。
ネコよけの代わりに食品トレーや豆腐の容器で手作りしてくれる方もいらっしゃいます。身近なもので利用できるものは沢山ありますね。こうした創意工夫で活動が発展してきたと言っても過言ではありません。

乾きにくい写真はなるべく風が当たりやすい場所に。
この時に気をつけなければならないことは、アルバムが混じらないようにすること。
アルバムが混じってしまうと持ち主の方に返却できなくなってしまいますので、ここは慎重を期します。

各々気をつけていても、伝達不足などで間違いは起こりやすくなります。
班ごとに声を掛け合い、列の区切り目には目印の付箋をつけたり、ひとつのアルバムは必ずひと固まりで置くことが重要です。
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とつぜんひょっこり現れたオールドあらいぐま様、嬉しいです! ご多忙の中でも時間ができると訪れてくれます。何も言わずとも必要な作業ポイントにスッと入っていただけるので助かります! 頼りにしています!

ベタベタする写真の対策にはニスを使うことにしました。
損傷が大きな写真は乾かして水分を抜いてもずっとベタベタがとれません。表面のゼラチン層が損傷で組織力を失っているからだとお聞きしたこともあります。コーティングが溶けていて湿気を呼び寄せてしまう感じもします。
そのまま水洗いすると真っ白に落ちてしまうので、部分洗いや水拭き、場合によっては何もしないというのも方策です。

洗浄では端の方のマーブル(インクが溶けて紋様状になった部分)を落としますが、人物はもちろん、風景、室内の様子、写真の世界観が感じられる要素は消しません。
しかし、その残した要素にベタベタが残っている場合、重ねると写真同士がくっついてしまうので表面にはそれなりの処置が必要です。
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持ち主の方が手にされた時、どのような状態が望ましいかはつくづくと考えます。
しっかりと像が残っている。そして写真としてしっかり手にできるもの。難しいところですが、像を残すことを突き詰めると、どうしてもベタベタの問題に突き当たってしまいます。

ベタベタ写真に関してはこれまでもいろいろな方策を試みてきました。水性ニス・シッカロール・紙粉・ラミネート・・どれも一長一短あり決定的な解決法にはなかなか行き着きません。
どこまで像を残すかも永遠の課題です。関係者が集まる写真救済サミットで議題になったこともありました。

お正月に海辺のあらいぐま代表さんにお会いした際、ニススプレー(アクリルラッカー)のお話を伺い実践もしてくれたのですが、スッ スッと軽く吹くだけで見事に表面のベタベタが解消しておりました。話には聞いていましたが実際目にすると衝撃です。ニスと言うとベッタリ塗りつけるイメージですが、ほんのちょっと吹くだけ。

これを真似せずしてなにあろう! です。何かと海辺さんを真似する課外としては当然ながら即採用です。(白状しますが「課外のあらいぐま」という名称も「海辺のあらいぐま」さんのパクリでした。すいません! 海辺さんのような風情は全くありませんが)
技術的にもマインド的にも良いところは受け継がれてゆきます。

海辺さんでは手持ちで吹いていましたが、コミセンはスペースの制約もあるので飛び散らないように僕らは新聞紙上に置いてやることにしました。
最初はスプレーの風圧で写真が飛ばされ、裏面にニスが付いてしまい、回収した時に写真同士がくっついてしまったこともありました。途中からは両面テープで固定して飛ばないようにしています。

シンナーの臭いが発生するので屋内で吹くときは換気をよくする必要があります。屋外でやるのが一番いいと思いますけれど。そこは近所迷惑にならない程度に。
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使用したニス(アクリルラッカー)は上記3つです。
左のグロスバーニッシュというスプレーが海辺さんからお薦めいただいた一番良かったものです。少々高価であったため、途中からよりリーズナブルなスプレーにシフトしました(ここはどうしても予算と相談になってしまいます。すみません)。

安いものと高価なものは、この日の感じでは溶剤とスプレーボタンが違うのだなという実感でした。
安いものはシンナー臭が強烈です。そしてスプレーボタンが少し固い。ですが同じアクリル素材で仕上がりは変わりありませんでしたので、ここはやり方を工夫し妥協の上進めることにしました。

スプレーに応じてそれぞれ吹く時間と距離を考える必要がありますね。あまり沢山吹き付けすぎない、良く乾かす、シンナーに気をつける、などが注意点でしょうか。
ニス吹き後は見事なまでにベタベタ感がなくなりました。今のところは一番よい方策に思えます。
ベタベタが激しいものは、1度目を一旦乾かしてから2度吹きするとよさそうです。
質問も受けていましたので少し詳しく書きましたが、実際のスプレー作業に要する時間は10分くらいのものでした。

この日の作業終了後はロビーで2時間近くも話込んで写真のことやら活動のことやら考えました。
今後の活動についてもいろいろ方向性が見えてきました。
そして、釜石の写真を進めるに当たっては、多くのボランティアさん、洗浄団体様の協力が必須で、自分たちがやる以外にも考えるべきことが沢山あるなと感じてきました。
総合的にうまく進められるように、皆さんで一緒に考えていけたらよいなと思いましたです。
しっかり返却できるよう進めたいですね。

滑り出し有意義な前半2日間でした。
(K1)

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